「過疎医療はおもしろい!」 ~本
こんにちは
今回は本の紹介です。
図書館で見つけた本書、著者が考える過疎地の医療の「おもしろさ」を知りたいと思い、手に取りました。
過疎地で必要に迫られて、いろいろな取組みをされており、将来に向けた過疎医療対策も提言されています。
過疎医療はおもしろい! ~僻地医療に心血を注ぐ、赤ひげ先生の挑戦
大森英俊 氏 (現代書林 2018年)
大森先生は、茨城県の最北部にある大森医院の院長で、高齢者福祉施設の理事長でもあります。
祖父が創った医院を1993年に継ぎ、高齢化の進む医療過疎地で、外来診療をはじめ、在宅医療、介護サービスの充実に取り組まれています。
過疎医療は「最先端医療」で「おもしろい」
大森氏は、過疎医療を「最先端医療」といいます。
国が進める「地域包括ケアシステム」においては、医療機関の役割を明確にし、医療と介護の連携を深めることが進められています。
地域において、全体を診る「かかりつけ医」の役割がますます重要になっていまるのです。
25年あまり、過疎地域で「かかりつけ医」をされている大森氏の取り組みは、日本の進んでいく道の一歩も二歩も先を進んでいるので(進まざるを得なかったので)、「過疎医療は最先端医療」と述べられています。
また、過疎医療のおもしろさについて、
・いろいろな病気があり、全人的医療のおもしろさがある
・過疎医療では、「答え」が得られる
と書いています。
多様な人生を生きる患者さんに対して、医療を提供すること、また提供した答えをご自分で確認できることも、おもしろさだといいます。
医療従事者として考えさせられたこと
さらりと書いてありながら、深く納得したことがいくつかありました。
1つをご紹介します。
病気の入院治療をしたが効果がなく、療養病棟で入院を継続するか、自宅へ帰るか迷っている家族のエピソードがありました。
病院は、家とは全く違う場所です。
家には、家族のものしかありません。お父さんを色濃く示すものもたくさんあります。
しかし病院には「道具」しかありません。救命のエリアはもちろん、病室も、不特定多数の方々の治療を目的とした空間にすぎません。
病院は家とは違う。
当たり前ですが、病院には「道具しかない」という事実に、改めて気付かされました。
リハビリでも、病院で提供するリハビリは「ホーム」、家へ訪問して提供するリハビリは「アウェ―」と考えています。
「アウェー」である訪問リハビリで、その方にいかに役立つ提案ができるか、日々考えながら仕事をしています。
本書は、大森医院に派遣されて、過疎医療の実際に携わった医学実習生の方々のレポートや、地域住民とのエピソード、今後の過疎医療対策への提案など、幅広い内容が書かれています。
医療や介護に関係する方だけでなく、どなたにも興味深い本ではないかと思います。
投稿者プロフィール
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作業療法士をしています。
読書と山歩き、音楽が好きです。
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