リハビリは目標か手段か?
こんにちは
先日のケアマネジャーになるための研修で、気付いたことがありました。
目標と手段をどう考えるかという話です。
リハビリは目標か手段か?
こう問われると、多くの方が「手段です」と即答されると思います。
しかし、ともすれば、介護保険制度を利用する中で、目標にすり替わってしまうことがあるのです。
ご本人が悪いとか、ケアマネジャーが悪いということではなく、リハビリが提供される仕組みにもその理由があるかもしれません。
目標と手段
デジタル大辞泉には、次のように説明されています。
目標とは、行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。「目標を達成する」「月産5000台を目標とする」「目標額」
手段とは、ある事を実現させるためにとる方法。てだて。「手段を講じる」「目的のためには手段を選ばない」「強硬手段」「生産手段」
明らかに違います。すり替わる可能性もないくらいです。
何のためにリハビリをするのか?
リハビリを行う方の希望は、「身体が元の通りになってほしい」だと思います。
しかし、病気やけがによっては、よくなる=元の通りになる ではなく、よくなる=できるだけ回復させる ということになるのです。
入院中にリハビリを行ってきた方が、自宅に退院後に、介護保険制度を利用される時、ケアプランにまれにこのように書かれていることがあります。
短期目標(約3か月で概ね達成可能なもの): リハビリを行う
提供内容 : 歩行練習を行う(通所リハビリで)
何かおかしいですよね。
短期目標は「目標」で、提供内容は「手段」です。
歩行練習を行うことで、何ができるようになりたいのかが、「短期目標」にならないとおかしいわけです。
例えば、「1人でトイレに行くことができる」「立位で食器洗いができる」などです。
入院中と退院後のリハビリの違い
リハビリが提供される仕組みも関係しているのではないかと言いましたが、こういうことです。
病気やケガ等で、入院中にリハビリを行う場合、「回復期リハビリテーション病棟」では、療法士と一緒に、1日に60~90分のリハビリを行います。病院によっては365日毎日行われます。
自宅に退院した後にリハビリを行う場合、選択肢は増えますが、療法士とマンツーマンで行う量は減ります。
選択肢として、医療機関での外来リハビリ、介護老人保健施設での通所リハビリ(デイケアともいう)、訪問リハビリがあります。
外来リハビリでは20~40分、訪問リハビリでは20~60分でといった時間で、週数回です。毎日行うことはありません。
医療保険や介護保険の制度上、そのようになっています。
何が問題なのか
私が問題と思うのは、入院から退院する際に、生活にソフトランディングする視点が欠けているのかもしれないということです。
病気をしたら一生、リハビリ職と一緒にリハビリをしないといけないのか。そんなわけはありません。
退院後は、ご自分でできることを少しずつ増やし、生活の中で実践していく。
ご家族や他の利用者さん、いろいろな専門職と一緒に、ご自分の目標に向かって少しずつ歩んでいくことが大切だと思うのです。
その視点が、病院のリハビリ職やケアマネジャーに欠けている場合に、目標と手段の取り違えが起こるのではないかと思います。
目標をどう考えて、手段としてのリハビリを行うのか。
リハビリ職として、考えさせられることです。
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作業療法士をしています。
読書と山歩き、音楽が好きです。
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