なぜ同じ病院に長く入院できないのか?(その2)入院病棟の種類と診療報酬の関係

病室のイラスト(背景素材)

 

こんにちは

知り合いから聞いた、親御さんが入院した時に、長く入院させてもらえなかった、という話。

病気の治療が終わり病状も落ち着いた頃、別の病院へ入院することを勧められたとのことです。

その理由は、国の方針により、病院の機能が分けられているからです。

今回は、入院病棟の種類と診療報酬の関係についてです。

入院病棟の種類と診療報酬

国の方針により、病院の機能が分けられています。主に高度な治療を行う病院、主にリハビリテーションを行う病院、といった具合です。

病院の機能により、入院病棟はいくつかの種類に分けられます。

一般病床(一般病床 地域包括ケア病床 回復期リハビリテーション病床 など)、療養病床、精神病床、結核病床、感染症病床

病床の種類だけでなく、職員の配置、実績などに応じて、診療報酬は細分化されています。

 

入院病棟の種類と特徴

一部の種類を紹介します。

 

回復期リハビリテーション病棟

急性期の治療が一段落し、早い段階から集中的なリハビリテーションを行い、積極的に家庭復帰をすることが目的の病棟。脳梗塞や脳出血、骨折、神経や靭帯の損傷など、病気により入院期間(発症から〇ヵ月以内など)が定められている。

詳しくは、回復期リハビリテーション病棟協会のホームページを参照下さい。

 

地域包括ケア病棟

急性期の治療が落ち着いた患者の受け入れ、在宅や施設入所者の急な体調悪化などの受け入れをし、60日を限度とした入院治療やリハビリテーションによって在宅復帰を支援する病棟。

詳しくは、地域包括ケア病棟協会のホームページを参照下さい。

 

療養病棟

症状が比較的安定し、長期の入院療養が必要な患者のための病床。

 

例えば、大腿骨の骨折で入院した場合には

身近な方が、ある日突然、家で転倒して動けなくなったとします。

救急車で病院に運ばれ、検査の結果、大腿骨が骨折していることが分かりました。一般病棟(急性期病棟ともいう)に入院します。数日後に人工関節を入れる手術が行われ、無事に終わりました。

手術後の経過も良好で、点滴やおしっこの管もとれ、食事も食べられるようになりました。傷口は痛みますが、順調に経過しています。

主治医から話があり、「回復期リハビリテーション病棟」に移ることになりました。(注:同じ病院に回復期リハビリテーション病棟がない場合は、転院を勧められることもあります) 1日に1~2回、リハビリが行われます。車いすから歩行器へと、徐々に体重をかけて歩けるようになってきました。

約1か月が経ち、杖で問題なく歩けるようになり、身の周りのこともできるようになり、家に退院できることになりました。

 

最初の病棟に退院までいたらいいのでは? と思われるかもしれません。

診療報酬では、病棟により、職員の人数配置やその他の要件が決められています。急性期病棟では、リハビリの量やリハビリ職の人数の基準がありません。そのため、必要な量のリハビリを行うことが難しいことが多いのです。

回復期リハビリテーション病棟では、リハビリの量やリハビリ職の人数の基準が定められているので、リハビリ職の人数も多く、リハビリの量や時間も長いのです。

このように、診療報酬において、病棟の機能や基準、点数が定められていますので、同じ病院に長く入院できないということになります。

また、国は入院期間の短縮を目指しており、入院期間が長くなるほど診療報酬が減額される仕組みになっています。

 

2回にわたり、同じ病院に長く入院できない理由をお伝えしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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じゅん

作業療法士をしています。 読書と山歩き、音楽が好きです。 詳しいプロフィールはこちら。

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