認知症と高次脳機能障害 知ることで少しずつ社会は変わる
こんにちは
かつて、「認知症」が「痴呆」と呼ばれていたことを覚えていますか。
言葉が変更されたのが2004年、14年前です。
痴呆から認知症へ
2004年、厚生労働省の『「痴呆」に替わる用語に関する検討会』では、「痴呆」という用語が侮蔑的な意味合いを含んでいることや、症状を正確に表していないことなどから、用語による誤解や偏見の解消を図る一環から検討が行われました。
2004年12月、「痴呆」に替わる呼称として「認知症」が最適とする報告書がとりまとめられ、これを受けて、厚生労働省は「痴呆」から「認知症」へ用語を変更し、自治体においても「認知症」が行政用語として使用されることになったのです。
当事者が自らの体験を語る
クリスティーン・ブライデンさんというオーストラリア在住の女性が、46歳で若年性認知症と診断され、その経験や望ましい支援について書いた手記があります。
私は誰になっていくの? アルツハイマー病者から見た世界
出版されたのは2003年です。
当時、当事者が自らの体験や思いを語ることは少なかったように思います。
この本をすぐに読み、とても驚いた記憶があります。
その後、国内でも当事者の方が講演されたり、著書を出版されたりと、
私たちが当事者や家族の方などの体験や思いを知る機会が増えたように思います。
高次脳機能障害
高次脳機能とは、人間の高度な脳の働きで、注意を払ったり、記憶・思考・判断を行ったりする機能のことです。
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や、外傷性脳損傷、低酸素脳症、脳腫瘍、脳炎などが原因で、起こることがあります。
高次脳機能障害の症状は多様で、脳のどこに損傷を受けたかによって、症状が変わります。
疲れやすく長続きしない、やる気がしない、新しいことが覚えられない、言いたいことがうまく表現できない、感情が抑えられないなど、様々な症状があります。
見た目でこの障害を持っていることが分からないので、「見えない障害」とも呼ばれます。
そして、脳の損傷を受けた場所が他の人と全く一緒ということはないので、障害が1人1人異なる部分が多いのです。
当事者をはじめ、みんなで社会を変える
「痴呆」が「認知症」に変わった2004年当時。
ちょうど日本で、SNSが誕生した年だそうです。(mixi、Amebaブログ、GREE)
2008年には、Facebook、Twitterがサービスを開始します。
そして現在。
私たち個人が、いろいろな形で、自分の考えや思いを発信し、交流できるようになりました。
クリスティーン・ブライデンさんが体験を語った頃とは、大きな違いです。
高次脳機能障害の下川眞一さんのように、障害のある当事者や家族が発信する機会も増えました。
知ることで社会は変わっていく。
認知症が広く知られるようになるよりも、もっと早く、もっと広く、高次脳機能障害についても知られていくでしょう。
誰もが住みやすい社会に少しずつ変えていくために、
知ることから始めてみませんか。
投稿者プロフィール
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作業療法士をしています。
読書と山歩き、音楽が好きです。
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