「知っといてぇや これが高次脳機能障害やで!」 ~本
こんにちは
今回は本の紹介です。
この本はすごい本です。
知っといてぇや これが高次脳機能障害やで!
著者:下川眞一 氏 編集:Reジョブ大阪 2018年
出版されるまで
著者の下川眞一さんは、約8年前の42歳の時に脳出血を発症し、左半身の麻痺と高次脳機能障害が残りました。
自営業に復帰を目指しましたが、仕事にうまく復帰できずにうつ病になり、またその後、てんかん発作があるので仕事を控えるように医師から言われるなど、いろいろなことが起こります。
約3年前から手記を書き始め、昨年、リハビリテーションを担当していた西村先生(言語聴覚士)の勤務する病院で講演をされたり、雑誌の取材を受けておられます。
病気になって約8年、いろいろなことが起こりながらも、下川さんは前を向いて進んでおられます。
本には下川さんの思いや考えがいっぱい込められています。
すごい方だと思います。
出版に向けて
今年に入り、西村さん、石原さん、松嶋さんの女性3人が中心となり、市民団体「Reジョブ大阪」が設立され、手記を出版することが発表されたのです。
クラウドファンディングで賛同者を募り、のべ237人の方の支援により出版費用の目標額を達成されました。
クラウドファンディングのリターンには、いろいろな種類があります。
「みんなで作った下川さんの本を1冊」「スタッフになって本に名前を載せる権利」「スタッフになってビデオレターを撮影し、レターやサイトに名前を載せる権利」「イベント参加権」「出版記念パーティー参加権」などです。
クラウドファンディングを通じて、皆さんに現状を知ってもらいたい、一緒に障がい者の社会復帰を手伝う仲間になってもらいたいので、1回きりの寄付ではなく、クラウドファンディングで仲間を募集したい、と考えられたそうです。
この仕組みを考え、実行された皆さんはすごいです。
私も微力ながら協力し、この本と出会いました。
出版、そしてNPO法人へ
Reジョブ大阪はNPO法人となり、5月には、待望の本が発売されました。
メールマガジンの発行や、イベントの開催など、活発に活動されています。
誰もが生きやすい社会を作るために、これからもいろいろな活動を展開されていくと思います。
高次脳機能障害とは
高次脳機能とは、人間の高度な脳の働きで、注意を払ったり、記憶・思考・判断を行ったりする機能のことです。
高次脳機能障害の原因として、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や、外傷性脳損傷、低酸素脳症、脳腫瘍、脳炎などがあります。
症状は多様で、脳のどこに損傷を受けたかによって、症状が変わります。
疲れやすく長続きしない、やる気がしない、新しいことが覚えられない、言いたいことがうまく表現できない、感情が抑えられないなど、様々な症状があります。
見た目でこの障害を持っていることが分からないので、「見えない障害」とも呼ばれます。
当事者の言葉の重み
障害のある方に関わるリハビリ職として、当事者である下川さんの言葉は深く心に刺さります。
(セラピストは)常に目標を立てて、更なるリハビリをしてほしい。途中でリハビリを伸び悩んだら、絶対に諦めてはいけない。そこでセラピストは一番大事だと信頼関係を持つことによって、患者さんはセラピストのことを信じてより一層頑張れると思う。
残念ながらほとんどの人はこの病気(高次脳機能障害)のことを知りません。がんだったらおそらく100%近く知っていると思います。
誰に聞いても「困っていることが他の人に言っても理解してくれないと」話しをしていた。まさに見えない病気である。(注:障害のある当事者に聞いても)
この本は、障害のこと、家族のこと、社会復帰のこと、の3章からなっています。
各項目に、下川さんの手記の言葉があり、その後の「知っておこう高次脳機能障害」のコーナーで説明がされています。
私が下手な説明をするよりも、本を手に取って、下川さんの思いに触れていただきたいと思います。
誰もが安心して暮らせる社会へ
知ることで少しずつ社会は変わってきます。
誰もが安心して暮らせる社会を作るために、まずは知ることから始めてみませんか。
下川さんの思いと、Reジョブ大阪の皆さんの思いが詰まったこの本、ぜひお読みいただきたい本です。
投稿者プロフィール
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作業療法士をしています。
読書と山歩き、音楽が好きです。
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