【本】発展する介護テクノロジーが未来を変える! 落合陽一34歳、「老い」と向き合う

こんにちは

落合陽一さんは、筑波大学図書館情報メディア系准教授/デジタルネイチャー開発研究センター・センター長、実業家、メディアアーティストとして、多方面で活躍されています。

情報テクノロジーの専門家である落合さんが、情報テクノロジーとは離れたところにあるように思える「老い」について書かれた本書は、超高齢社会の日本において、テクノロジーを活用した豊かな生活をイメージさせてくれます。

落合陽一34歳、「老い」と向き合う

落合陽一氏 中央法規 2021年

中央法規ホームページより引用

落合陽一氏が「老い」と高齢化にフォーカスした初の著書。

解剖学者・養老孟司氏との対談を皮切りに、デジタルネイチャー(AIやロボットとの共存が当たり前の時代)において、「老い」がどう変容していくか思考する。

「豊か」な生や老いを享受するためのヒントが詰まった1冊。

本書は、コロナ禍以前に、介護専門職の総合情報誌「おはよう21」で全14回にわたり連載された「落合陽一が描く介護の未来」に大幅な加筆・修正を加えたものだそうです。

目次

はじめに

序章:【特別対談 養老孟司 × 落合陽一】デジタル化する自然の中で「生」と「死」はどう変わるか? 

第1章:発展するテクノロジーと変わる「老い」

第2章:ここまで進化した「介護テクノロジー」のいま

第3章:少子高齢社会の日本が起こす「第4次産業革命」

第4章:人にとって優しいテクノロジーとは? ー求められる「ハッカブル」

第5章:誰もがクリエイションできる未来へ ー勃興する「テクノ民藝」

おわりに

内容

心に残った点をご紹介します。

 

介護は「身体の補完」「身体の拡張」である

介護に人の手の「温もり」は必要不可欠か?

テクノロジーというと身構えそうになりますが、以前から人はテクノロジーによって、身体の補完を行っています。メガネやコンタクトレンズは、視力を補って生活を便利にしてくれますし、補聴器も聞きにくさを補ってくれます。今では当たり前の道具になっているので、テクノロジーという言葉が合わないように感じるほどです。

介護は「人の手で行われる温もりのある介助である」という考えは、昔も今もあります。私の印象では、約25年前と比べて随分変わってきたように思います。

例えば、約25年前は、ベッドから車いすへの乗り移りは、ほぼ人の手で介助して行っていました。「移乗用リフト」というハンモックのようなシートに身体を包んで乗り移りする機器を使う施設はまだ少数で、危ない、人の手の方が安心、といった意見があったことを覚えています。

でもよく考えると、人の手で介助するよりも、「移乗用リフト」の方が確実に移乗できるのです。人の場合は、介助者の体格や体力によって確実性が変動するのです。

現在では「移乗用リフト」だけでなく、「マッスルスーツ」と言われるような力仕事を楽にする機器が多く使われるようになっています。

 

介護テクノロジーの今

いろいろなテクノロジーが生まれて、使われています。

コロナ禍で余儀なくされているzoomなどでの「オンライン面会」や、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」をはじめとして、本書ではこれは便利! 早く普及してほしい! と思うテクノロジーが数多く紹介されています。ぜひ本書をお読みください。

私の勤務先でも、コロナ禍で面会ができない状態が続いています。オンライン面会や、オンライン会議、オンライン飲み会など、コロナ前には思いもしなかった方法が、今や当たり前の世の中に変わりました。

このように、テクノロジーは少しずつ生活に溶け込んでいくのだろうと思います。

 

ユーザーにとって使いやすいテクノロジーが大切

「テクノロジーはあくまでの補佐役に過ぎず、主役は介護される人と、その人を支える人である」「余計な機能をつけてユーザーのタスクを増やすのではなく、従来の業務をよりスムーズにすることが、現場で受け入れられるテクノロジーの要諦である」と、落合さんは述べています。

これは大いに納得です。使う側が、大変そう・・難しそう・・だったら今のままでいいのでは・・ と感じると、テクノロジーは普及しないと思います。

例えば、医療機関や介護施設では、患者さんや利用者さんの様子を記録しますが、利用するソフトが変更されるともなれば、もう大騒動です(経験者です、笑)。全職員が使い方をマスターするまではかなり時間がかかりますし、ストレスも感じます。

従来の業務をよりスムーズにしてくれる、ユーザーに使いやすいテクノロジーは大歓迎です。

 

テクノロジーを使いこなす未来 介護の役割

「介護の役割は ライフコーディネート になる」「介護職は、コミュニティの中で共に生きる 仕事になる」と、落合さんは述べています。

テクノロジーが当たり前にあって、業務をよりスムーズにしてくれたら、介護職は利用者にゆったりと関わることができるようになると思います。

現在人手不足の施設では、多くの業務があり、時間に追われて、利用者とゆっくり話す時間がとりにくい・・ という状況ではないかと思います。もどかしい気持ちを抱えて仕事をされているのではないかと思います。

テクノロジーがそういった介護や医療の世界を変えていくことになると思うと、未来が楽しみに思えてきます。

 

介護に関心のある方、テクノロジーに関心のある方は、興味を持って読んで頂けるのではないかと思います。

テクノロジーがこんなに進化しているとは知りませんでした。未来が楽しみです。

 

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じゅん

作業療法士をしています。 読書と山歩き、音楽が好きです。 詳しいプロフィールはこちら。

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