「社会的孤立は、全ての世代の健康に悪影響を及ぼす」 東京都健康長寿医療センター研究所が調査結果を発表
こんにちは
東京都健康長寿医療センター研究所は、1972年に開設され、超高齢社会がもたらす諸問題の解決に向けた研究に取り組む機関です。
2022年3月に「社会的孤立は全ての世代の健康に悪影響を及ぼす」という研究結果が発表されたので、ご紹介します。
社会的孤立は、全ての世代の健康に悪影響を及ぼす
資料は、東京都健康長寿医療センター研究所のホームページに掲載されています。
発表の概要は、下記の通りです。
日頃、同居家族以外との接触がない場合(=孤立)と比べて、
1.精神的健康状態の悪化を抑制するためには高齢者のみならず青壮年者においても、対面接触(直接会うこと)および非対面接触、いずれも有効である。
2.非対面接触のみの場合よりも、対面接触の方が、その好影響は大きい。
3.中年者では、対面接触は精神的健康状態についてではなく主観的健康感の維持・向上に有意に影響する。
高齢者の場合は大いに納得しますが、青壮年や中年の方でも、健康に影響があるのは興味深いところです。
用語の説明
年齢
この研究では年齢を、青壮年(25ー49歳) 中年(50ー64歳) 高齢者(65ー84歳) の3つに分けています。
主観的健康感
健康状態を自己評価で、良好または不良で回答する。
精神的健康状態
WHOー5精神的健康度(World Health Organization-Five Well-Being Index)を用いて回答する。得点範囲は0ー25点で13点未満を不良とする。
調査結果
タイトルに2年後とありますが、調査時期は2016年と2018年です。グラフの赤丸部分は、有意な差があることを示しています。
棒グラフの区別は表のとおりです。
孤立グループと比べて、接触のあるグループは、精神的健康度が低下するリスクが低いことが分かります。ただし、中年ではリスクの差が若干少ないようです。
中年において、孤立している群と比べて、接触している群は、主観的健康感が低下するリスクが低いことが分かります。
研究成果の意義
これまで、高齢者における社会的孤立(社会的接触の欠如した状態)と健康の関連を分析した研究は、多数報告されています。長引くコロナ禍の影響で対面接触が制限されることによる、心身の健康への影響が危惧されます。(中略)
社会的孤立状態は、高齢者のみならず、青壮年世代においても精神的健康に悪影響を及ぼします。非対面接触によっても、その悪影響は緩和されましたが、高齢者では対面接触が特に有効であり、青壮年者は、対面、非対面とも同程度に有効でした。
近年、LINEやZoomなどのオンラインコミュニケーションツールが普及する中で、高齢者はコロナ終息後も外出が困難となる場合を想定し、早くから上記のツールを活用することが推奨されます。青壮年者は、対面、非対面接触とも適宜、活用することが重要です。
興味のある方は、ぜひ東京都健康長寿医療センター研究所のホームページをご覧下さい。
この調査は2016年と2018年に行われたので、コロナ前ということになりますが、年代に限らず、他者との接触が大切であることがよく分かります。2020年からの新型コロナ感染症の拡大で、他者との接触の重要性がさらに認識されています。
人は社会的な動物なので、やはり人との交流が大切なんですね。コロナ感染予防に気をつけながら、人と交流をして元気に過ごしたいですね。
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作業療法士をしています。
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