<本>人生100年時代をいろんな視点で考える:「人生100年」老年格差(和田秀樹氏)

こんにちは

本の紹介です。

最近よく言われる「人生100年時代」

老いの期間が延長する時代に向けて、身体と脳の若々しさと健康を保つ方法や、幸せな老いを迎えるためのヒントが書かれた本です。

老いと闘うという風潮には限界があり、ある時期からは老いを受け入れ、老いとともに生きることが必要であることなど、老年医学専門の和田氏の話は、いろいろと参考になります。

「人生100年」老年格差 ~超高齢社会の生き抜き方~

和田秀樹 著 詩想社 2019年

詩想社のHPより引用

医師がみた人生100年のウソと本当

夢の長寿社会が実現するとして、「人生100年」がキーワードとなっている。
人々が若々しく過ごし、高齢になっても働き続け、マルチなステージで活躍するライフスタイルが提示されるが、それらは高齢者医療とは無関係なビジネススクールの学者たちが示す未来像だ。

長年、高齢者医療に携わってきた著者は、もっと別の「人生100年社会」があると説く。
これからの時代は、人々が若返るからではなく、死ななくなるから寿命は100歳近くまで延びていくのだ。
来るべき本当の人生100年時代とは、これまで10年ほどだった老いの期間が、20年~30年に延長する時代だ。
そのため、老年を迎えた人々の、知的機能や体力、健康度、若々しさなどの個人差が拡大する社会が到来する。

人生100年の真の姿を解き明かし、延長する老いの期間に向け、身体と脳の若々しさと健康を保つ方法、幸せな老いを迎えるためのヒントを
老年医学の専門家である著者が説く。

内容は4章あり、下位項目が各4~5ページで読みやすい本です。

第1章 人生100年時代とは「健康格差社会」の到来だ
第2章 いまから始める! 人生100年時代に備えた生き方
第3章 「人生100年ブーム」にだまされてはいけない
第4章 100歳まで生き抜くための健康戦略

人生100年時代は「健康格差社会」

和田氏は、人生100年時代は健康度や運動能力などの個人差が大きくなるといいます。

高齢者がマジョリティとなる人生100年の社会は、個々の健康度や、運動能力、若々しさの個人差が大きなものとなる多様性に満ちた社会である。

とてもよく分かります。

仕事柄、過疎と高齢化の進む町で高齢の皆さんと出会いますが、80代以降になると特に個人差を感じます。

畑仕事、家事、趣味、車の運転もして、日々動き回っている方から、病気やケガで生活しづらさがある方、身体は動くけれど意欲が落ちて引きこもり気味の方など・・

若い頃は走るのが早い、頭がいいとかの差はあるものの、生活能力というか生活状況には大きな差はありませんが、高齢になるとその差は顕著です。

 

老化を遅らせるためにいちばん大事なのは、「意欲」を保ち続けること

これも実感します。

病気やケガで入院された時に、〇〇ができるようになりたい、退院したら〇〇したい、といった気持ちのある方は、何となく改善の傾向が早いと感じます。前向きだから、〇〇したいという気持ちになるのかもしれませんが・・

身体の老い支度、心の老い支度

和田氏は、

歳を取ればとるほど若いとき以上に、身体能力、健康応対の個人差が大きくなってくるのです。

同年代でどのくらいが平均なのかを冷静に考え、その平均レベルを目指して健康維持を心がけるべきです。

と言います。

平均的な老化の過程、程度を早めに知っておくことで、慌てることもむやみに落胆することもないとも、言われています。

ちなみに、

40代では、脳の前頭葉の萎縮がはっきりしだして、意欲や創造性、感情のコントロール機能が衰えだすそうです。老眼がはじまるのもこの年代とのこと。

他の年代のことも簡単に書いてありますし、下記の著書にも書かれているそうです。

「年代別 医学的に正しい生き方 人生の未来予想図」  講談社 2018年

老化を防ぐ生活 前頭葉・男性ホルモンを活性化させる

いつまでも若々しくいるためには「意欲」の低下を防ぐことが大切です。意欲には前頭葉と男性ホルモンが関係しています。

前頭葉は不測の事態に対処する時に活性化します。ルーティンのような日常を繰り返していると、すぐに衰えてしまいます。

小さなことでもいいので、変化のない日常を改善することが大切です。

ルーティンが楽でいいな~ と思っていると、意欲の低下につながりますね。これは若いうちから心がけることができそうです。

また、男性ホルモンについて、

女性は加齢とともに男性ホルモンが自然に増えてくるので問題ありませんが、男性の場合は年齢とともに減ってきますので、維持を心がける必要があります。

和田氏は、対策として食生活の改善を勧めています。男性ホルモンの原料はコレステロールであるため、中高年になってからも積極的に肉食を取り入れることが、これからの高齢者には必要だといいます。

確かに、たんぱく質は血や筋肉の元ですし、日本人の1日に必要な栄養素の摂取量を見ても、たんぱく質は若者でも高齢者でもほぼ同じ量が必要とされています。

これさえ食べれば元気でいられるといった、巷にあふれる情報などに振り回されず、自分で調べ、考え、判断することが大切ですね。

ご紹介したほかにも、これからの人生を生き抜くヒントになる話(若干過激な話も)がたくさんあります。

おすすめの本です。

 

 

 

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じゅん

作業療法士をしています。 読書と山歩き、音楽が好きです。 詳しいプロフィールはこちら。

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