【本】制度や就労支援のことがわかる! 若年性認知症の人や家族への支援のきほん
こんにちは
若年性認知症についての本をご紹介します。
厚生労働省などでは、若年性認知症は「65歳未満で発症する」と定義されていますが、この本では「18歳から64歳までに認知症と診断された場合」とされています。
高齢になって認知症を発症する場合と異なり、18歳~64歳は、働き盛りや子育てをしている方が多い時期です。生計をどのように立てていくか、子育てをどのようにしていくか等、高齢者とは違った課題があります。
本書は、就労支援や制度の活用、本人・家族への支援などについて、詳しく説明されています。
この本を必要とする方に、広く届くことを願っています。
制度や就労支援のことがわかる! 若年性認知症の人や家族への支援のきほん
沖田裕子・杉原久仁子 著 中央法規 2022年
若年性認知症にかかわる支援者に向けて、若年性認知症の特徴を整理し、本人や家族への支援をていねいに解説。
就労支援や活用できる制度、本人支援、家族とのかかわりについて、事例を交えつつ理解できる。
若年性認知症の人とかかわる際の基本となる一冊。
認知症とみんなのサポートセンター
著者の沖田さん、杉原さんは、NPO法人認知症の人とみんなのサポートセンターの代表・副代表をされています。
当法人は、既存の社会資源が不足している若年性認知症や初期の認知症の支援に力をいれています。
認知症の人や家族の居場所作り、相談事業、必要な支援方法の研究・研修を行っています。
看護師の沖田さんは、まだ介護保険制度のない時代に、医療保険で実施される重度認知症デイケアで働いておられ、かなり進行した重度の段階の若年性認知症の人も利用されていたそうです。
支援の必要性を感じて、2005年に家族会を作り、2つのグループが1つになり、2009年には仲間と共に法人格を取得されたそうです。
認知症を理解し共に暮らすための情報サイト「おれんじねっと」に、沖田さんの活動が紹介されています。
内容
どの章も、分かりやすく説明されています。
事例を通じての説明もありますので、若年性認知症の方に関わったことがない方も、イメージしやすくなっています。
また、Q&Aが10項目あり、より理解を深めることができます。
第1章 若年性認知症の人にかかわるための基本の知識
若年性認知症とは / 若年性認知症の原因疾患の特徴的な症状 / 若年性認知症の人を支援するうえでの特徴 / どういう制度が利用できるのか
第2章 若年性認知症の人を支援する ー 就労支援
職場での変化から受診まで / 仕事の継続や復職につなげるには / 同じ職場での就労継続-復職 / 新たな職場へー福祉現場での就労 / 福祉的就労
第3章 本人支援・ピアサポート
本人支援・ピアサポート / 居場所のつくり方 / 認知症の人の意思決定支援
第4章 若年性認知症の人に役立つ制度の活用
公費負担医療制度の活用 / 障害福祉制度によるサービスの活用 / 介護保険の活用と活用するまでの支援 / 経済的支援 / 支援は変化していく
第5章 家族を支援する
若年性認知症の人の家族をめぐる状況 / 家族の悩み / 家族の支援に必要なこと / 子どもへの支援 / 家族介護者同士の交流
本人・家族からの相談Q&A
病気や障がいを知ることで、暮らしやすい地域へ
近年、認知症に限らず、病気をもつご本人の発信を目にする機会が増えました。
病気や障がいなどは、知らないことが多いので、ご本人やご家族の声を聴くことで、少しでも想像したり理解することができます。
知ることで、誰もが暮らしやすい地域に、少しずつ少しずつ近づいていくと信じています。
この本は、支援者をはじめ、ご本人やご家族など、多くの方に役立つ本だと思います。
投稿者プロフィール
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作業療法士をしています。
読書と山歩き、音楽が好きです。
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